ぶなの美林とXCに最適な山頂台地

森吉山(秋田県)

大門正明

 秋田県内陸・またぎの里・森吉山は山肌のぶなが美しい山だ。山頂付近は緩い広大な台地状で,残雪期に好天をつかんでXC(クロスカントリー)スキーなどで訪れると楽しい。山頂台地の少し下まで,森吉スキー場と阿仁スキー場と二つもスキー場が開かれてしまっているのが惜しいが,どちらも例年,豊富に雪を残したまま三月中に営業終了してしまって山は静寂を取り戻す。何のために開発したのか,悲しい話なのだろうが,静かな山を自分の足で楽しむ人には格好のエリアとなる。

 交通の便は悪いが,スキー場の広い駐車場に前夜のうちに入って仮眠すれば朝早くから行動でき,軽いXCスキーなら軽装で日帰りも可能だ。もっともその日のうちに東京近辺まで帰るのは難しいので,山麓の豊富な温泉で汗を流して,翌日ゆっくり帰るとよい。

●アプローチ

 バスの便はないので車での入山が前提になる。秋田自動車道・昭和男鹿ICから国道285号線,または東北自動車道十和田ICから大館〜鷹巣経由国道105号線で阿仁前田に出て,そこから東に森吉スキー場を目指す。

●コース

 ゲレンデの長い登りでは急な部分はシールを貼るかつぼ足で登った方が早い。ゴンドラの終点から右・南南東方向に森の中を緩く斜登高してゆくと一ノ腰の南の鞍部に出る。山頂へはここから主稜線沿いに大回りしても行けるが, 視界のいいときには連瀬沢の源流を越えて山頂に近道できる。稜線を15分ほど進んでから,帰りにウロコで登り返せるぐらいの緩い斜滑降で沢の源頭に降りていくと森吉神社の東・1200m付近で沢に出る。一面の雪の源頭部を難なく越えるとそこは山頂西面の広大な緩い台地の一角だ。樹林のない部分をつないで山頂を目指す。

 山頂で時間に余裕があったら,周辺を自在に滑り回るのも楽しい。山頂近辺は藪や地肌が出ているがそれ以外は360度,XC向きの緩斜面が広がっている。ウロコ付きの板なら,テレマークターンを楽しみ,そのままウロコだけで登り返せる。

 下りは西面大斜面を自在に滑ってからちょっと登り返して一ノ腰の鞍部に戻る。この大斜面の滑降では斜面に釣られてつい右(北)寄りに滑りたくなるが,あまり右に下ると沢が深くなってくるので登りで渡ったあたり,森吉神社の真下あたりに出たほうがいい。

 一ノ腰南の鞍部からは斜滑降で森を抜け,ゲレンデを滑って駐車場に戻る。こぶも消えて平坦になったゲレンデではテレマークターンが面白いように決まる。

 阿仁スキー場から登るルートも楽しい。スキー場の駐車場からゲレンデを登るが,途中の「ぶな帯野営場」からはゲレンデの横のぶな林の中をルートにとると気分も雪質もよくて快適だ。石森で主稜線に出たら山頂まではほぼ稜線伝いに1時間弱で行ける。

 このページの写真以外にも,筆者が5月連休に3回行ったときの写真が http://member.nifty.ne.jp/YukiUsagi/photo/ にありますので,インターネットを見られる方はご覧ください。

交通●秋田自動車道・昭和男鹿IC(車1時間半)森吉または阿仁スキー場

2万5千図●森吉山

参考タイム●森吉スキー場P(2時間15 分)一ノ腰南の鞍部(30分)沢(1時間)森吉山山頂(30分)沢(30分)一ノ腰南の鞍部(1時間)森吉スキー場P(Pは駐車場)●阿仁スキー場P(3時間30分)石森(45分)森吉山山頂(30分)石森(1時間)阿仁スキー場P

問い合わせ●国民宿舎森吉山荘0186-76-2334