焼石岳西面と鳥海山一周

4/28夜に東京を出て、4/29朝、焼石岳の秋田県側、東成瀬村のジュネス栗駒スキー場に到着。そのへんから登れるかと思ったら、ゲレンデも周辺の山も真っ黒で、ゲレンデを板かついで登ったとしても上から行けそうにない。観念して国道397号(岩手側の石淵ダムに抜ける道)からジュネスへの分岐点まで戻り、そこからウロコXC担いで冬期閉鎖中の国道をMTBで登る。大森山トンネルの手前、夏道登山道入口にMTB置いてそこからXC。さすがにここまでくると一面の残雪で水を汲むのに苦労する。秋田側からの焼石岳は入る人も少なく花がすごくきれいと聞いていた。今はもちろん夏道は数mの雪の下で道標も花も全くないがこの長いコースは山をうまく巻いたり沢を越えたりしてウロコXCにぴったりだった。しかし長いコースだった。時間も遅くなって、山頂まで行くのはあきらめようかと思いながらなんとかピークに登り着いたら、そこは焼石山頂ではなかった。数年前に北側の湯田から登った南本内岳を意識し過ぎて右に寄り過ぎてしまった。東側にもっと高いピークがあるので、鞍部に滑り込んで、恐らく南本内岳と焼石岳の間の小ピークであろうそのピークに這い上がると、そこが人の気配もない焼石山頂だった。緩い下り、何度も登り返しのある疲れるコースを戻って17時頃下山。石淵ダムからのコース同様、雪のある時期はウロコXC以外で行くのはやめた方がいいルートだった。

下の温泉で汗流し、湯沢で夕食とって夜のうちに鳥海山でここだけまだ行ったことなかった登山口・南面の湯ノ台口に行く。湯ノ台口で一番高い標高1200mまで上がれる車道は通行止なので、家族旅行村の方に行ってみると、ちょっと下の駐車場が景色もよくトイレもあってちょうどいいのでそこで車に泊まる。

4/30の予報は雨だったので停滞して何するかなあと思ってたら朝から意外と天気いい。家族旅行村の庭からもう板履いて、鳳来山経由で八丁坂の途中まで登って、雨がポツポツ来だしたので、滝ノ小屋に滑り込んで降りてきた。滝ノ小屋には車道の方から大勢登って来ていた。鳳来山あたりはブナの巨木が多くていい雰囲気だがちょっと急斜面が多すぎて危なっかしい。

旅行村のすぐ下の鳥海山荘に泊まって休養。ひとつだけ空いていた部屋はちょっと高かったものの、一面のガラス戸越しに真正面に鳥海山を見るツインのすごい部屋で、食事よく原野を見渡す露天風呂もよく、全館、白旗史郎氏の鳥海山の写真がたくさん飾られていて写真展をやってるみたいで楽しめた。夕方鳥海が霞んで見えなくなってきたと思ったら雨が強まって、夜は大雨、これでは今日きわどくグサグサ雪の急斜面を何度もトラバったりした鳳来山経由のルートは、一周して疲れて降りてくるルートには適さない。滝ノ小屋からまっすぐ下る一般コースにした方がよさそうだ。

鳥海山一周のもう一方のアプローチをどうするか? これも初めての鳥海山の南東面、升田から大清水に通じる奥山林道のどこからどうとりつくか? その偵察を5/1、雨は上がってるもののまだ上部は晴れないちょうどいい偵察日よりの中、XCの革靴は車で乾かしておいて、MTB+ミニスキーで行ってみた。升田の舗装車道終点=奥山林道入口からほんの500mばかり、発電所の対岸でもう車は行けなくなり、そこからMTB。しかし、これも500mばかりで、杉林の間の直線路が完全に雪で覆われていて乗れない。その先も周囲の山が真っ黒な割に林道は残雪や雪崩、崩落箇所が多くて乗れたのは半分以下、歩いた方が早かったようだ。ミニスキーで滑ったのも10分ばかり。しかしルートは見つかった。林道を2時間ぐらい進んだところから北に突き上げる双子の小沢をうまく登ればスキーで上ノ台に出られそうなことがわかった。

旧八幡町の中心街に出て「ゆりんこ」で汗流し、酒田駅前の食堂で夕食とり、大台野の車道除雪終点に泊まる。

5/2、4時前に起きてMTBだけ残して車で奥山林道に向かい、5:15にスキーかついで奥山林道を歩きだす。すぐ杉林の中の残雪歩行に。杉の葉がたくさん落ちていて滑らないからXCはいてもあまり効果ないかと思ってたのが、滑りは多少悪いものの足が沈まない効果あって歩きよりもだいぶ、MTB引きずって歩くよりもかなり快適だった。昨日見つけた取り付き点のちょっと手前で握り拳大のネジリパンみたいな茶色いものを見つけて何かと思ったら熊かカモシカの糞だった。で、再び歩きだそうとふと左の山腹を見ると山に登っていく階段状の歩道がある。登っていってみると少し上の小さな堰堤で終わってその先は急で取り付けない。ウンはついてくれなかった。20分程度ロスして昨日見つけたところから登る。こちらは正解で、沢と沢の間の尾根状をウロコ効かせて登っていくとだんだん緩くなってきて、ついには広大な上ノ台のブナの森に出られた。

ガスが出てきたが構わず上へ上へと登り、1300mあたりから徐々に右に進路を変えていく。大清水から唐獅子平へと登った人はいないのか大雨で消えてしまったのか、気づかないうちに通り過ぎて、最高1500mぐらい、唐獅子平より100m以上低い高度でかなりの時間、東面を北上して祓川からのシュプールだらけの登山道を横切る。ここでガスっぽい中、1人のボーダーに20mぐらいまで接近した以外、夕方滝ノ小屋の入口に人影見るまで丸一日誰にも会わなかった。

祓川からの道も祓川を確認することも七つ釜避難小屋を確認することもなくその間を突っ切って、等高線と平行に向けたスキーが北向きから西向きになると急に雪渓が急になって藪でちょくちょく途切れるようになる。1300〜1350m付近でトラバったのだけれども、もうちょっと下のがよかったかもしれない。何度も板のまま灌木の上を歩いたり草の上を滑ったりした。地図からは鳥海山の北面に広大な台地があることなど想像できなかったけれども、そのうち、ガスの中平坦な緩斜面を登るようになって、シュプールも2本出てきた。急にガスが晴れて、鳥海山北面の岩壁と急な雪渓の真下の広大な台地状にいることが分かる。ちょうど浅間の北面のようだった。腐った重い雪の緩い登りが延々と続き、2本のシュプールも北面の急な雪渓に消えて、2回ほど藪を突破しながらさらにトラバースの登りを続けていくと、再びガスの中、ようやく七五三掛に出られた。時すでに16時。

七五三掛の急斜面を慎重に通過して、さああとは下りだけ!と思ったらその先もガスで何も見えない(;_;) 地図眺めて計器飛行で南に滑っていき、ときどき見えるあの大きな白いのが月山森だろうとその左の鞍部に出て、右側中斜面、左側だらだら地形を進んで1555mになんとか出るとシュプールが出てきて、そのうち下に滝ノ小屋も見えてきた。雨が降り出す。滝ノ小屋通過して18時頃車道除雪終点に着き、雨の中板かついでMTBダウンヒルで車に。ダウンヒルのあとの林道入口までの走行がバテバテの体にはきつかった。

それにしても、初めて行った南面、鳥海で恐らくいちばん人が入らない南東面の台地など通って、天気も晴れ上がってた時間よりもガスってた時間の方がずっと長かったような状況でGPSもなしによく無事回れたものと我ながら感心している。こういう独立峰の一周は飛行機みたいで、一定高度を保って回っている間は高度計とスキーの向きだけ気にして大斜面を延々とトラバースしてればいいので、慣れてしまえば割と気楽なもので、去年の北面(中島台)起点のコースでは離陸部分でかなり林道を使って、着陸部分は大勢滑られてる千蛇谷を使ったので今回のに比べたらかなり気楽なものだった。今回のコースは離着陸部分がコース的に難しく、また一定高度中にも未知の北面の急斜面をぬう部分があって、しかもガスの中でそれをやったので、かなり難しかった。距離も長くて、祓川までは祓川で1泊しないと無理かなあなどと考えながら、七五三掛までは祓川に戻ろうか中島台に降りてしまおうかと、七五三掛から先、ガスで見えない中では御浜小屋にかけこもうかと思ったりして、1日で回れることが確信できたのは滝ノ小屋が見えた17時近くになったときだった。スキーの機動力生かして難しい独自ルートを回れた充実感は大きい。

【コース・タイム】黒瀬発電所対岸(260m)5:15 − 奥山林道 − 取り付き点7:50 − 上ノ台〜東面1300〜1500m横断 → 祓川上部13:30 - 北面横断 − 七五三掛(1820m)16:10 → 滝ノ小屋17:15 → 大台野650m 18:10 =(MTB)= 黒瀬発電所対岸18:40