鳥海山一周

(中島台−祓川上−唐獅子平上−山頂南1910m−七五三掛−鳥越川滑降−中島台)

 

大門 正明

何度も鳥海山に行くうちに、山頂よりも山麓の広大なブナ林に魅せられて、そんなところを富士山のお中道みたいに一周できないものかと思い始めた。しかし一周となると外輪山の崖がネックで、七五三掛で通過するか横岡まで降りて渡るしかなさそう。七五三掛で越えると森林限界より上を回る短いコースになってしまうし、横岡まで降りると自転車併用で泊まり掛けで回るような長いコースになってしまい荷も重くなる。今年はまず祓川をベースに七五三掛経由で回るコースをやろうかと、イマイチ気乗りしないまま佐藤さんと4/29早朝に東京を発った。午前中に酒田に着いてしまったので、次回のために横岡と中島台に偵察に行くと、中島台なら遊歩道の奥まで、鳥越川から滑り込めることが確認でき、うかつにも、この鳥海山で一番長い滑降コースである鳥越川自体を一周コースに含められるということに初めて気づいた。祓川からの一周コースの後半を中島台経由に変更することにし、湯ノ台温泉に浸かっていて、祓川よりも中島台を起点にすれば、祓川まで車を上げる無駄もなく、鳥越川大滑降ですっきり終われることに気づき、こうして今回のコースが確定した。

4月30日(晴)

林道歩き1時間半のあと、遥か彼方に山頂を望むブナ林の広い尾根のウロコ登高(真新しい熊の足跡も見た)、延々と続く大斜面の孤独なトラバース、大雪渓ときどき這松帯の南〜南西面と進み、七五三掛のまっさらな急斜面をXCみみず(ヨロヨロ)シュプールで初滑降し、鳥越川を大滑降し、静寂の三郎沼にも寄り、最後は遊歩道に出そこなって30分ほど藪と岩の中を彷徨って15時半に出発地点に辿り着いた。孤独などと書いたのは誇張ではない。緩いウロコ登高を好む自分と急なシール登高を好む佐藤さんでは微妙にコースがずれて、人の多い矢島口ではぐれてしまったのだ。七ツ釜あたりで引き返したかと思った佐藤さんも1時間後に無事一周してきた。

翌日、横岡から稲倉岳に登って、快晴の鳥海山と鳥越川の全貌を眺めた。ここでも下りで迷って、複雑な地形の水神様の懐を1時間も彷徨って、森と水の鳥海山麓を充分堪能して帰途についた。

今回は北面の中島台を起点に大きな楕円軌道で回ることで、XCの軽快な機動力とテレマーク滑降技術を駆使した満足の一周ができた。今度は南側や東側の山麓を起点にした一周もやってみたい。

 

<登高高度1,440m 滑降高度1,440m>

(コースタイム)中島台レクレーションの森(460m)5:10−林道745m地点6:45−矢島口1400m付近9:30−百宅口1750m付近11:25−湯ノ台口1910m付近12:00−七五三掛(1830m)12:50〜13:25−三郎沼(925m)13:45〜14:00−中島台レクレーションの森15:25(大門)/16:30(佐藤)

(メンバー)  佐藤 徹、大門 正明 (XC)