豪雪の八甲田

正月には10回ぐらい行ってる八甲田に初めて1月末に行ってきた。 積雪は例年より少し多いぐらいでまだまだこれから増えるらしいが、年末年始にばかり行ってた目にはかなりの積雪で、酸ヶ湯付近では道路の雪壁が平気で3mぐらいあって、道路からわきに入るのも大変なのでした。

【日 程】2005/1/27,28,29
【山 域】東北北部/北八甲田
【メンバ】単独
【道 具】山板(170cmのカービングでない板)、プラ兼用靴
【天 候】1/27:雪、1/28:雪のち晴れ、1/29:曇(上部は地吹雪)のち晴
【参 考】1:25000 酸ヶ湯、八甲田山スキーマップ
【コース】1/27 酸ヶ湯の南側を地獄沼まで散歩
          1/28 酸ヶ湯−地獄湯ノ沢−大岳山麓1440m−地獄湯ノ沢−仙人岱
               ヒュッテ−地獄湯ノ沢→酸ヶ湯 + 湯坂の裏を散歩
          1/29 酸ヶ湯−地獄湯ノ沢−硫黄コース下部(往復) + 湯坂の裏を散歩

1/27の午後に酸ヶ湯に着いて、夕方周辺をスキー散歩してみたが、作業場の除雪のすきからなんとか道路の南の雪原に出られたものの、しばらく歩き回って別の場所から車道に降りたくても雪の壁が3〜5mぐらい続いていて降りるに降りられず、しかし来た道引き返すのもつまらない、城ヶ倉渓谷や八甲田ホテルを眺めながら歩き回ってやっと1箇所、地獄沼あたりに壁が2mぐらいのところを見つけてずり落ちるようにしてなんとか降りられて一周できた。酸ヶ湯温泉には広い公営駐車場の方に向いた南口というのがあるが、道路から南口まではなんと雪のトンネルが掘られてた。雪が積もり過ぎて、雪の上に道つけたら電線に近くて危なくてしょうがないのでしょう。

金曜は冬型が緩むので晴れそう、しめた!と思って大岳を目指したものの、膝までもぐる深雪ラッセルにめげて、地獄湯ノ沢に出る手前から大岳にまっすぐ突き上げる尾根に取りついてみる。が、大木が2〜3mの間隔で林立し、木の回りは深く穴があいているところがあり、木の間は雪が盛り上がっていて、登るのに大変なばかりでなくスキー履いたまま間違って穴に落ちたら下手すると木の枝に宙づりになって夏にスキー履いて逆さ宙づりになった腐乱死体で発見されるような結果になりかねない。15分登って諦めて引き返し、改めて地獄湯ノ沢を目指す。深雪ラッセルでまいったところで地獄湯ノ沢に出て強風にちょっと雪が締まって楽になる。登るほどにガスで視界がどんどん悪くなってくる中、雪がしまった左寄りを快調に登っていたらいつの間にかかなり急になってきた。視界がやや晴れたときふと右を見るとはるか下に深い沢。高度計見ると1440mと仙人岱ヒュッテの高度をとうに越えて大岳中腹に登り詰めてしまっていたのだった。そのまま山頂まで登ってしまえなくもない気もしたが、1人なので自重して地獄沢から左に離れてしまった地点まで引き返して、緩い地獄沢を登り直す。仙人岱近くでガスで2回諦めようとしたもののしぶとく沢の中を進んで完全に平らになった仙人岱の池あたりから真南に進んでなんとか仙人岱ヒュッテにたどり着いた。

着いてみると驚いたことに入口にスキーがあって1人先客が。5年前にここで会ったことある、若いが以前酸ヶ湯のガイドやってたこともあるというエキスパートだった。今時珍しいずんどうの長い板に紐絞め革靴のテレマークで、巨大なザックにツェルトにコンロからワカンまでしょってる。カービング太板を好まない少数派に会うのも珍しいがそれもこんなところで会うとはまた。地元の元ガイドだけあって帰りに下ってみると自分のあっちに登ったりこっちに降りたりとしょうのない跡を訂正して全く無駄のない(酸ヶ湯への緩い下りの間にほとんど登り返しがない)完璧なルートに訂正してくれていて、帰りは非常に楽に下れたのでした。2時間ちかくヒュッテで話して飯食ってても大岳は一向に晴れてこないので、先に酸ヶ湯に下山したのでした。

15時に酸ヶ湯に降りてから車道から湯坂の下になんとか這い上がって、スキーはいてまっさらな雪面をラッセルして湯坂の上に出て、珍しく誰にも滑られてない湯坂を2本滑る。2回目に登るときには既にめざといスノーボーダーが登りシュプールをスノーシューで荒らして登っていた。スノーシューで登るのならスキーに最適なだるい登路などよりもっと急なルートとって近道して登ればいいものを、結局土曜の夕方まで、かなり登ったボーダーもスキーヤーも、ビデオ撮影機材かかえて偉そうな人を追ってスノーシューツアーのビデオでもとってたどこかの取材班といい、誰一人このもっぱらスキー登高に最適な緩い登路からはみ出そうとする人はいなかった。なんか変だぞ。

土曜は低気圧がかなり近付いて朝から南よりの強風で雪も重い新雪、時間が遅くなるほど天候悪化するのは目に見えてるので朝食後7:45に出発。前日の元ガイド氏のシュプールを辿るが強風と重い雪で半分以上埋まっていて疲れる。どうせ悪天だしこんな厳冬期八甲田らしからぬ重い雪のときに大岳に登って滑れたとしても面白くないので、地獄沢に出てすぐ左岸に登って硫黄コースの方に出て登りかけるが、強風によるすごい地吹雪ときついラッセルになる。100mぐらい登って強風の中でなんとかシール外して引き返す。地吹雪の中で久々に、はがしたシールの糊の面同士を張り合わせてザックに突っ込んで回収した。シートなど貼ってる余裕がないわけだ(シートを貼ってたらシールが雪まみれになってしまう)。こういう点でもカービング板は山には不向きだ。滑降して地獄沢渡って酸ヶ湯への森林コースに入ったところで本日の2番手、スノーシューはいたおっさんが登って来る。話してると一緒に登りませんかと言ってくれて迷うが、やはり天気悪くなりそうなので下る。少し下ると5人パーティ、その少し下には20人、さらに下には30人、、、とどんどん増えて登りシュプールはもう50cm幅のレールのようになってる。翌日聞いた話では、この日、強風で午前中八甲田ロープウェイが動かなくて、ガイドツアーの連中が大挙してこちらに来たらしい。この緩いコースのどこをスノーボードで滑るのか不思議だ。帰りも歩きになったんじゃないかな。酸ヶ湯に下ると10:30、晴れ間も出ていてちょっと早まったかなとも思ったけれども、50人も入ってしまったコースに未練はない。誰もいない湯坂に登って、裏側を散策(実は湯坂の上に出ようとしてリングワンデリングしてしまった^^;)したりしてから昼すぎまでに2本滑る。2本目では急斜面のめちゃくちゃ重い雪が雪崩れそうになったりして快適でないし雪崩起こしては大顰蹙なので12:30で切り上げてあとは酸ヶ湯そば食べて温泉と昼寝。結局夕方まで晴れててちょっと複雑な気分だったが。

この冬いちばんの大寒波が来てかなり崩れるというので、帰れなくなってもまずいので、翌朝1番、8:30の宿のバスで青森に下山、猛吹雪にバスの出発が10分遅れたものの1時間遅れの特急〜新幹線で明るいうちに帰宅した。正月や連休以外に八甲田に行ったのは初めてだが、宿は閑散期で安い(2食付き湯治\7750/泊)し、列車もすいてて快適でいい。ミニ周遊券はとっくに廃止されてるものの、「青森往復切符」というので往復の新幹線+特急はちょっと割安になった。