佐渡・月布施自転車紀行

快晴の小佐渡を走ってきた。

自転車を畳まないでフェリーに乗ったので、高崎から先だけでも交通費2万以上と馬鹿高くついてしまったが、海や棚田を眺めながら気分よく走れて、3ヶ月ぶりの月布施の住人諸氏も覚えていてくれて歓迎してくれた。

前の週に続いて金曜の夜、早々と仕事切り上げて飛んで帰って、自転車など車に放り込んでまずは高崎のカミさんの実家へ。MTBを分解して苦労して初めて輪行袋に押し込もうとするが、前後が長いのか、昔の自転車は収まった袋にどうしても入りきらない。忘れてきたことにすら気づかなかった30年前のシュラフカバーをはみ出た部分に被せてクリップ止めしてなんとか金属が見えないようにする。

高崎発7時の新幹線で新潟へ行き、駅で自転車組み立てて港へ。分解組み立ては案外厄介なので、9:30のフェリーに自転車のまま乗り込んで\1300余計にかかる。12時に両津に着いて、まず開館イベントがあるという潟上温泉の近くのトキ交流会館に向かう。車の多い車道を直行しても面白くないので地図みて南の山沿いを回るがいきなりのupdown多い農道で、気づいたら行き過ぎていたので適当に林道を近道して戻ろうとしたら丘の上の田の端で道が行き止まりになってしまったりと、なかなかいい感じ。しかしイベントは 正装で居並ぶ近在の老名士?達の集まりのようで、15分ぐらいで会場を後に、トキのように小佐渡の山の上に向けて飛び立つ。

きつい登りで標高400mの峠越えて林道をあわびという寒村に下り、そこから海沿いの車道10分で月布施。2軒しかない民宿は明日の植樹を前にいっぱいかと思ったら自分以外にはその植樹を取材する新潟放送のスタッフ4人が泊まっていたのみ。東京あたりからはるばる佐渡まで日帰りで来る人はそう多くないと思うが、両津のホテルにでも泊まってるのかな? 夕方自転車で裏の山に登ってみるがすぐ暗くなって林道の途中で降りてくる。夏以外の季節には佐渡にはうまいものがたくさんあると聞いて楽しみにしていた夕食にはタラバガニがデーンと出てそれだけでも食うのに1時間かかった。

植樹の場所がわからないので自転車で行くのは諦めて「島内の人は農協前に8:30に集合」に行って混ぜてもらう。植樹地まで、両津に集合してあとからバスで駆けつけてくる島外の人は月布施から延々と林道を1時間歩いて登るのだけれども、島内組は軽トラに分乗して先行して会場設定の準備などする。前の日にだいぶやってあったのでテントを立てるくらいですぐ終わって地元民用の一番上のところで植え始めるも、後発組170人が来るよりも前にほとんど植え終わってしまう。植樹地は、5年前に小佐渡の稜線直下が100mほど大規模に崩れた跡で、植えた一番上のエリアからはすぐ上に稜線が見える。5分の藪こきでそこに立たずにいられなかったのが自分1人だったのはやはり山好きのサガか。

毎朝通勤時に品川駅を歩いていて、ふと目を上げるとそこにTVカメラが回ってるなんてことにウンザリ気味なのだけれども、植樹地はそれに劣らぬ光景で、NHK含めて4社もTV局が取材に来て飛び回っていて、新潟放送には5分ぐらい取材されてしまったりしたのでした。山好きスキー好き、長野の廃村の山村風景を復元したいこと、棚田ネットを5月に初めて知ったのこと、7月に初めて月布施に来て復田作業したことだの、自分でもよくわからなくなってきた経緯をしどろもどろつっかえつっかえで5分ぐらいしゃべって、わけわからなかったはずなのでこれは採用されないこと請け合い(^^;)

イオン(旧JUSCO)募集の島外ボランティア一行170人余り(実は自分もその1人)は11時頃着いて15分ぐらい話聞いて、1時間ほどでこれも余裕で植え終わって、トキ保護センター元所長?の長い話聞きながら昼の弁当食べ終わるともう歩いて下山(もったいない)。そのあと我々はまた上まで登って忘れ物がないかゴミがないかなど見てきて片づけして雑談したりして、170人が下に着いた頃を見計らってまた車で下山。

まだまだ明るいうちに宿に戻ってお茶に呼ばれて、そろそろ自転車で7月に復田ならぬビオトープ化した隠し田を見に行こうかなとしていると、宿のおばさん、これから公民館でやる村の反省会(慰労会)用のオードブルを取りに寄った おっしゃりさん に、「これから自転車でどっか回るとか言ってるけど、一緒に出てもらえば」と勧めてくれて、ビール瓶ぶら下げてぶらりと公民館へ。3ヶ月ぶりの村の方々はほとんど覚えていてくれて、歓迎してくれたのでした。そこを見に行きたくて自転車で来た、その海からも道からも見えない山奥の隠し田跡は、水が入ってミミズが増えて、それ狙ってモグラが来て水が抜けて一時乾いてしまってたとのこと。あの山奥ではしょうがない。

最終日は朝8時に出て、前日おっしゃりさん達に(植樹地の上から藪の稜線を辿っていくよりはかなりマシだからと)勧められた、隣の野浦から林道で山越えする道をとる。これが素晴らしいルートで、5月の早大の「棚田の学校」のパネルディスカッションに参加されていた野浦の方が言っていたとおりの、「海岸から小佐渡の稜線近くまで」どこまでも続く棚田を左右に500m駆け上がるきつい登り。最上部がまだ50mばかり工事中で未開通だったが、なんとか押し歩きで通してもらう。両津への500mのダウンヒルはあっという間で、11時頃には海抜0mに降りてしまう。隠し田にも回ってくればよかった。

住吉温泉に寄ってみると、\350でもう入れるという。汗流してると、86のじいさんが入ってきて来て、「佐渡は住むにはいいとこだ」という佐渡の人の口癖みたいな本心こもった言い方をまた聞く。「住むには」を強調するのは、もちろん、誰もが思ってる「仕事はあまりないけど」というのがあるわけですが。