1年ぶりで静かな冬の野反湖に行ってきた。

厳冬期の野反湖周辺のほとんどの山をXCで駆けめぐってきたぜ! と自慢したいところなのだけれども、まだ2月だというのに寒くない日が何日も続いた暖冬のせいで雪が締まっていて、それでXCで快適に回ってこられたと言うべきかもしれない。

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【日 程】2002/2/23〜24
【山  域】上信国境・野反湖 (1/25000図 野反湖、岩菅山(、小雨))
【メンバ】雪兎 (190cmウロコ+ハーフエッジ付きXC)
     山雨海風氏 (ウロコ付きカービング板!+テレマークbinding)
【天 候】2/23:晴, 2/24:曇ときどき雪のち快晴
【コース・タイム】
  2/23 六合村・和光原0835 =(MTB)= 大原分岐0915〜30 - 富士見峠下1145〜
   1200(BC設営) - 恵比山1330 - 高沢山1420 - 三壁山1455〜1525 -
   キャンプ場1615 - 富士見峠下BC 1705
  2/24 BC 0730 - ハンノキ沢徒渉点0830 - 兎の遊び場1015 -
   堂岩山1055〜1110 - 八十三山1155〜1205 - 大倉山1250〜1300 -
   熊の遊び場1330 - 北沢1340〜55 - ハンノキ沢徒渉点1455 -
   BC1650〜1705(テント撤収) - 大原分岐1730〜35 =(MTB)= 和光原1750
【写真→】 http://yuki-usagi.cool.ne.jp/photo/2002223/
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以前は、野反湖への国道は、別荘地のある大原への分岐点(標高1200m)まで車で入れて、そこからスキーで歩きだせたのだが、スノーモービル対策のため数年前にかなり手前の和光原(980m)に頑丈なゲートが作られて、そこから出発しなくてはならなくなっている。上に別荘地があるので1200mまでは除雪されていて、XC滑走もできないので、その間は自転車で行くことにした。凍結して押して歩くしかないところは1割ほどで、7割がたは乾いた路面、残り2割は凍結でない白い圧雪状態で、9割がたは乗って走れた。疲れ切って帰ってきた下りの楽さは言うまでもない。ただし、このスノーモービル対策、六合村から何十台と入り込んでいた数年前の惨状は改善されているものの、日曜午後に野反湖に降りてきたら8台が湖面を走り回っていて、西岸・恵比山の上やキャンプ場の中など縦横に走り回って騒音と廃ガスをまき散らしていた。どこからか、延々と林道でも辿ってくるらしい。我々の姿を山の上に見て、逃げるように消え去った。

大原への分岐点(1200m)に自転車をデポして、そこから国道をウロコ滑走で野反湖に向かう。1376m地点から尾根上の旧道に入り、富士見峠(野反峠)から弁天山に登りかけたが、明日のコースを考えるとテントはあまり上げない方がいいので、富士見峠の少し下に戻って東にわずかに下がった山かげに張る。

正午に軽装で出発して、野反湖南〜西岸の山を弁天山(巻く)〜恵比山〜高沢山〜三壁山と縦走して三壁山頂から野反湖に滑降、野反湖を縦断してBCに戻る。恵比山と高沢山と三壁山の登りでシール付けたがあとはウロコだけで快適に進む。三壁山から野反湖への滑降は、雪質が悪くて手こずったが、真っ白い大きな野反湖を眺めながらの滑降は実に気分よくて滑りの苦労を忘れさせてくれる。ニシブタ沢に滑り込んで水を汲み、広々とした夏のキャンプ場から湖に滑り込んで、湖を北から南にほぼ縦断して富士見峠下のBCに戻る。湖上滑走は北風に押されて、両手を広げているとそのまま止まらずにかなり滑っていくこともあるほど楽で速かった。ジャンプ競技用のムササビスーツでも着ればもっと楽なのだろうが、大自然の中での自由で厳しいスキーは過保護で醜悪なオリンピックや国体とはわけが違う。

夜は明るい月夜でかなり冷え込んだ。冬型は緩んでいるのに、さすがに風の通り道の峠、一晩中木々の上の方の枝が風でゴーゴーいっていた。それでも、ちょっとした山かげに張ったテントはときどきそよ風に揺れる程度だった。

2日目、6時頃に起き出して7:30に出発。雪はちょっと舞う程度だが気温が非常に低くて、出発して1時間近くも手足の指が痛かった。湖岸の道路を滑走して野反湖東岸1555m地点まで行き、そこからまっすぐ北上して1631mを越えてハンノキ沢に滑り込む。僕も山雨海風氏も、いつもはそこからいきなりタカンボウ尾根(P1720-P1944)に取りついていたのだが、今回はXCということもあって、ハンノキ沢を東に少し進んでから支尾根を登ってみた。このルートだと西斜面でなく南斜面を登ることになるので、朝でも雪が硬くない可能性が高いし、斜度も少し緩く距離的にもちょっと近道になる。正解で、僕はXCで快適に登れたのだが、山雨海風氏は登高にかなり手こずっている。だいたい、なんで楽な斜登高をしないでスキーツアーらしからぬ疲れる直登ばかりしているのだろう? と思ったら、どうやらこれはカービング板の弊害--硬雪斜面の斜登高が苦手--によるものだったようだ。ハーフエッジのXCに紐締めの革靴でそんなに苦労しないで登れたところなのだが、バックル締めの頑丈なテレマークプラブーツ履いていてもカービング板では肝心の部分のエッジが浮いてしまって斜登高も階段登高もままならず、無理な直登をするしかないようだ。ハーフエッジのXCは登りで必要な肝心のところにだけしっかりエッジがあるが、カービング板は肝心な部分のエッジが浮いてしまうようだ。

尾根に出てしまえばあとは兎の遊び場を通って堂岩山の直下まで緩い登りになる。シール外してウロコで快適に進み、山頂までそのまま登ってしまったが、山頂直下はシール付けた方がだいぶ楽だったようで疲れてしまった。

堂岩山を快適にテレマーク滑降し、鞍部で今日2度目のシール装着して八十三山に登る。白砂山はついに雪雲に隠れたままだった。またまたシール剥がして寒い山頂を後に、西北西に滑り込んで、尾根の南側直下をトラバース続けて大倉山へ。天気予報では群馬北部は早くから晴れるが新潟は午後まで曇ときどき雪。ここは群馬で新潟県は白砂山の向こうなのだが、新潟県の方の予報があたったようで、雪が舞って手袋していても手が痛いほどの寒さが昼になっても続いている。大倉山からさらに西南西に尾根の南側を滑って最後の小ピークから南に、いよいよ北沢に向けての大滑降。13時、滑り出したとたんに空が真っ青に晴れ上がった。快適な雪を残しておいてくれてかつ青空に素晴らしい樹氷を輝かせてくれた。ちょっと緩んだ雪は抜群に滑りやすく、ヤワなXCでもテレマークターンがバッチリ決まる。テレマーク名人の山雨海風氏にうまいですねえと感心されるがそれほど快適な雪だったのだ。

北沢で水を汲んでから南に急斜面を登り返す。山雨海風氏は何度か来ているコースだがいつも4月以後なのでだいたいツボ足で登ってしまうらしい。今回もツボ足で登り始めたが、やはり2月、さすがにツボ足では激しく沈むらしく、すぐシール登高に切り替えた。

バテてきて山雨海風氏にかなり遅れをとって、複雑なルートを進むトレースをひたすら追うと、野反湖を望む小ピークで山雨海風氏が待っていた。何ということか、静寂なはずの、昨日は静寂そのものだった野反湖を、いるはずのないスノーモービルが何台も走り回っている。ガックリと力が抜けて2人ともどっとペース落ちる。ハンノキ沢からノロノロと茅の尾根に登り返して休憩。野反湖側に滑り出すと、8台のモービル軍団は逃げ去っていった。

車道を辿ってテントに戻り、即テントを撤収し、疲れた体で重荷を背負っての心配なXC滑降に移る。1376m鞍部まではけっこう傾斜のある樹林帯の旧道を滑るのだが、雪がそれほど悪くなっていなくて、5回ぐらいの転倒で済んだ。1376からの緩い車道は、モービルの跡のおかげでよく滑って楽だった。1200mで自転車拾って、かろうじて路面が見えなくならない薄暗がりぐらいのうちになんとかゲートにたどり着くことができた。久々にきつい1日だった。

尻焼温泉で温まって帰途につく。