- FYAMAALP MES(12): 山岳スキー・XC(山でのスキーの全形態可 01/01/28 - 02046/02046 JAF00036 雪兎 飛騨の十石山に行ってきました (110行) (12) 98/04/03 00:34 以前からちょっと気になっていた北アルプス南端・乗鞍岳の近くにある渋い山 「十石山」に行ってきました。日帰りで行けないこともない山だが,電車で行っ て白骨温泉から登って山頂直下にある避難小屋「十石小屋」に泊まって,翌日金 山岳まで縦走して平湯に滑降するという計画に直前に加えてもらった。SさんとK さんは2週間前にも同じ計画で山頂まで行ったものの猛吹雪で小屋が見つからず にツェルトビバークして降りてきていていたそうで,その再挑戦でもあった。 【日 程】1998年3月28日(土)〜29日(日) 【山 域】飛騨 (乗鞍岳周辺) 【山 名】十石山(2524.8m),金山岳(2532m) 【地 図】1/25000 乗鞍岳,焼岳 【コース・タイム】 3/28 白骨温泉(1300m)10:15−十石山16:00−十石小屋16:05 3/39 十石小屋9:45…十石山…金山岳10:55…→平湯(1270m)14:20 (「−」はシール歩行,「…」はアイゼン歩行,「→」はスキー滑降) 【メンバ】S,K,T,雪兎 【天 候】3/28:晴のち高曇り 3/39:快晴 【スキー】山板 週末はまたXCで浅間にでも行こうかと思って同行者を探したものの都合が合わな くて,最後にT氏が3人パーティで十石山に行く予定で,一緒に来てもいいという ので,以前から いい山小屋があってツアーコースとしてもなかなかの山と聞い てたので急きょ山スキー記録索引で記録文献調べて地図も見て,メンバーに加え てもらうことにした。十石山と金山岳の間の稜線が細いのが気になったが,誰も 気にしてなくて,「とやま山ガイド」(1997発行)でも特に危ないとも書いてない のが不思議だった。まあ,最悪駄目なら白骨に降りてくればいいだろう。 参加が直前だったので,既に往きは急行アルプス+松本電鉄+バス,帰りは特急バ ス+特急あずさ という計画ができていて切符も3人分(あずさ回数券+バラ券2枚) 買ったあとで,自分の分はバラで買うしかなくてひどく高くついた(車山行3回分 ぐらい交通費かかった(;_;))が,帰りも渋滞の心配なくビール飲んで帰ってこら れるという優雅で環境に優しい山行になった。 往きは松本で2時間,新島々で1時間の待ち時間があるので松本からタクシーで行 けると早く登れてよかったのだが,さらに高くついてしまう(だいたい4人も乗れ ばタクシーの方が安いことが多いが,ここは珍しく4人で乗ってもタクシーの方 が5割も割高になる。松本電鉄の電車とバスは上高地で儲かっているせいか かな り割安のようだ)のと 初日は小屋に入るだけなので急いでもしょうがないという ことで松本駅でゆっくり仮眠して電車とバスを乗り継いで行った。が,これは山 頂周辺を思いきり滑れない結果になってもう一度行く宿題を残したので却って高 くつく結果になった。まあ いい山なのでまた行く楽しみが残ったわけですが,,, そんなわけで,白骨温泉到着9:40,出発10:15になった。ところどころ急になる 天然の針葉樹林帯を休みを多くとりながら快適に登ること6時間弱で十石山に着 く。午後から少し雲と風が出て,最後,山頂直下の吹きさらしの緩斜面はかなり 雪が固くなっていて,シールだけでは滑って苦労した。SさんとKさんはスキーア イゼンを付けたが,やはり空滑りしてしまうことも多くて苦労したらしい。 山頂からすぐのところにある大きな避難小屋「十石小屋」に泊まる。中は冷え きっていて寒いが気密性がよく,避難小屋とは思えない素晴らしい小屋だ。食事 も自分で行くときはほとんどレトルトか乾燥食で済ませてしまうのだが,今回は Kさんが僕の分までばっちり用意してくださって段違いに豪華な夕食だった。あ りがたい。梅酒の飲み比べなどもする。夜行の疲れもあり20時頃早々と寝てしま う。持参の厳冬期用シュラフの他に小屋のマットと毛布も借りて寝たら暑くて 22:30に目覚めてしまった。T氏は小屋をあてにしてシュラフカバーしか持ってこ なかったらしいがその方が正解だったようだ。次に起きたのは朝7時前だった。 春霞の快晴の朝になった。雪が緩まないと金山岳までの痩せ尾根が(特にアイゼ ン持たずにきたT氏には)危ないのでゆっくり朝食とって掃除して,最初からアイ ゼン付けて歩き出す用意をする。ゆっくり出ればいいのと昨日は山頂到着が16時 で周りを全然滑れなかったので,出発前に1人,スキー履いて小屋の東側を50mほ ど滑ってみた---3人とももうスキーをザックに付けて,アイゼンも付けて準備完 了間近なのを尻目に(^^;)。小屋のある稜線上は西風に吹かれてアイゼンがない と恐いほど雪が固く締っているが,緩い斜面を東側に20mも下ると風は全くなく なり,日に照らされた雪面は表面が緩んで抜群に快適な斜面になっていた。階段 で息切らせて登り返して,みんなでもっと滑ってから出ましょうと提案したがT 氏が怒って先に出発して行ってしまった。まだ9時前だと勘違いしていたのだが 実はもう9時半を回っていて,スキーのあまり得意でないS氏とKさんの金山岳か らの下りの所要時間を心配していたのだった。○岳連の講師をやるほどのT氏な ので技術的には心配ないが1人だけでアイゼンなしでこの先の痩せ尾根を行くの は気が気でないので急いでスキー脱いで出発準備して追いかける。しかし,体力 の差も大きく,金山岳を越えるまで,足跡だけを追いかけることになった。それ にしても雪が緩んでときどきアイゼンがダンゴになるほどだったとはいえ,かな り高度感のあるやせ尾根で,僕などアイゼン付けていてもけっこうビビりながら 歩いていたのに,こんなところをアイゼンもなしで平気で通過してしまうから凄 い。ずっと先行してしまって姿が見えないので,雪が固くなって足跡が消えるた びに 落ちてやしまいかと3人して両側の斜面を見下ろしながら歩く。 金山岳の山頂から30〜40m下ったあたりで僕だけスキーを履いた。西向きでまだ 日のよく当たっていない中斜面の稜線の雪はかなり固くて,ジャンプターンのあ とエッジが流れて転倒して,滑落しかけた。もう少しアイゼンのまま下るか,ス キー付けてももう少し慎重に斜滑降ぐらいで滑るべきだった。稜線から右に外れ ると雪も緩んで一転して快適に滑れるようになった。 2350m付近で40分かけてゆっくり昼食とる。快晴無風で暑いぐらいだ。霞の向こ うに端正な常念まで見える。 12:05に平湯スキー場に向けて滑り出す。この尾根は「山スキールート図集」で は1時間で平湯まで降りられるようになっており,「とやま山ガイド」でも1時間 半ぐらいとなっているが,けっこう木が密で地形も複雑で時々ゆるい登り返しも あって,2時間以上かかってけっこう消耗して平湯スキー場のてっぺんに飛び出 したときにはほっとした。20年前に書かれたルート図集で島田靖さんが滑った頃 には多分木がまだ小さくて滑りやすかったのだろう。去年出た「とやま山ガイ ド」では尾根よりも左に外れてかなり谷寄りのルートをとっている。心配したほ ど転ぶこともなくけっこう順調に滑って降りた割に時間かかったのは,たぶん, 木が密な稜線上を忠実に辿りすぎたせいだろう。「とやま山ガイド」を見ていた のは僕だけで,表紙だけ1997年版などと新しくなっているものの中身は20年前の 記録である「ルート図集」をコピーして持ってこられていたので,いくら末尾で 尾根の左寄りに外れて滑ろうと言っても今ひとつ説得力に欠けた(;_;) 記録や ガイドはなるべく新しいのを見ましょう。 平湯スキー場は広々とした真っ白なゲレンデが広がっていたが既に営業してなく てリフトには椅子もかかってなかった。笠ヶ岳を眺めながらコブもない広大なゲ レンデを巨大なパラレルで滑る。バブルとともに異常なスキーブームも終わった らしいが,こんなに雪が残っていても営業終了するまでになったか と感慨深く 滑り降りていくと,コース途中の細い林道を滑るところで2回,雪が切れてし まっていた。1回目はスキーのままタワシの上を歩けたが2回目はスキー脱いで歩 かねばならなかった。2回目を過ぎると一番下のゲレンデに出た。上の広大な快 適ゲレンデは我々の為にとっておいてくれて,一番狭いそこだけリフト動かして 細々と営業していたわけだ(^^;) ゲレンデの下から平湯温泉への連絡コースに入り,平湯温泉の上の国道まで滑る と,国道の向かい側がバスターミナルだった。我々の到着と同時に高山から松本 に向かうバスが来て,聞くと5分後に出て次のバスは3時間後,席も4人分空いて るということで,温泉は諦めてそれに飛び乗って帰途についた。松本まで出てし まうと今さら温泉に入る気も失せてしまい,始発のあずさに乗って優雅にビール 飲んで渋滞する高速道を尻目に大名気分で20時頃に帰宅した。 1998/04/02(木) 雪兎 (JAF00036)