01455/01455 JAF00036 雪兎 松手山から平標 (12) 97/02/19 00:49 【山 域】上越国境 (新潟・群馬県) 【日 程】1997/2/15(土) 【コース・タイム】平標登山口7:30 − P1411 − 松手山11:10? − 平標山13:30〜14:00 → 国境稜線1860m → 登山口15:15 【天 候】晴のち高曇り 南風強く上部の稜線では地吹雪(はた目は雪煙) 【メンバ】雪兎,I 【地 図】1/25000 三国峠 去年1月28日にヤカイ沢右側から国境稜線の1860mに出る緩い尾根につなぐルート (「スキーツアー入門とガイド」に紹介されてるルートより1本南の尾根)を登って, 松手山の東からセンノ沢を二居に滑降した(#869)。このときの登りルートがほと んどぶな林の中でとても気分よくて,しかし滑った沢は薮が多くて悔しい思いが 残って,ぜひとも登ったぶな林を滑りたくて,単純にヤカイ沢から往復するつも りで出かけた。しかし,去年は平標にめっぽう詳しいT氏に連れていってもらっ たのであまりアプローチの道も見てなくて,今回 夜中に入ったこともあって入 口で道路を間違えてしまった。朝,シールつけて歩き出すと東に向かってるつも りが左側,広い谷の向こうに立派な道が平行していて,磁石出すと北に向かって いて,初めて,間違えてることに気づく(^^;) 戻ってもよかったのだが,ここ から松手山経由でも急そうだけども登れないこともなさそうだから行ってみまし ょう,ということで急遽ユニークなルートに変更してしまった。 ところが,この登りのきつかったこと! 急な尾根の左は針葉樹林,右は雪庇,尾 根上は新雪が波打ってる。雪庇の左寄りをシール登高の限界の斜度でシュカブラ (?)の出っ張りをストックで切り崩したりしながらジグザク切って這い上がる。 ときには薮に入って木の枝引っつかんで這い上がるが,枝が折れて落ちてしまう ことも2度や3度ではなかったったりして,人には絶対勧められない登りでした(;_;) そもそも前の晩,相棒I氏が家に来るなり言った言葉が「ザック忘れちゃったん だけど借りられるかなあ?」で,嫌な予感はしていた。登山口で車で泊ったら快 晴で夜やたらと冷え込んで,出発の朝,八甲田以来2度目,6日目の使用となる兼 用靴(NORDICA TR-9)を履こうとしたら冷え込んで固くなっていて全く履けない。 こんな靴テント泊りのスキー山行なんかしたら使えやしない,旅館ベースの日帰 り大名山スキー用にしか使えないじゃないか!と頭にきながらも無理に履こうと してると右の外靴のちょうつがいのところの六角レンチのネジが外れてしまっ た(;_;) まさか新品の靴でこんなところ外れるとは思わないからレンチなどない。 手でゆるく回してはみたもののかろうじてひっかかるだけでいつ外れるかわから ないし,これはますます「今日は山に入るな」ってことかな? などといやな感 じ(;_;) もっとも,それにしては もしかしたら登れないかもしれない急な尾根 に意外と平気でとっついてしまったのでしたが(^^;) 別荘地から高度差450mの急な尾根を突き上げて1411m,送電線の巨大な鉄塔に出 るとやっときつい不安定な登りが一段落し,やや登りやすくなる。樹林の尾根を ひたすら登っていくと突然,林の向こうに巨大な平標が姿を現わした。ヤカイ沢 からだと最初から見えてるしそんなに大きく見えないが,ずーっと後ろの景色し か見えなかったのが突然目の前に目的の山がでかく現れて,これは感激で,きつ い登りの疲れを吹き飛ばしてくれた。 松手山から樹林帯が切れて裸の稜線になる。平標までの長い稜線には右から南風 が当って尾根上から左(北)側に雪煙が出ている。南風の雪煙なんてちょっと薄気 味悪い。そんな中,平標山頂から1人が滑り出した。少ししてもう2人。あとで聞 いたらこの3人のうち2人は 去年一緒に平標に登った(#869)H氏とT氏だった。ち なみにH氏とT氏も一緒に来たわけではなくて,T氏が連れと2人で来てラッセルし て去年と似たコース登ってたら後ろから猛烈な勢いで登ってきて追いついたのが H氏だったというからおかしい。そこから3人パーティになって平標から平標沢〜 仙ノ倉谷経由土樽に滑ったそうで,上部快適だったものの谷に降りてからのラッ セルが大変で通常1時間でいく出合から群大ヒュッテまでに3時間かかったとか。 アプローチを間違えなければ,僕達も加わって5人パーティになってたことだろ う。 松手山から平標山頂までの稜線の登高は,晴天下の南の強風による雪煙の中,不 気味なブリザードの中の苦しい登りになった。南風は台風の風みたいに強く全く 息をつかず,気温も(2月にしては)高く太陽も照ってるので山シャツはすぐ雪に まみれて 顔に当たる雪はすぐにとけて強風が体温を奪うので顔が冷たくてしょ うがない。顔にまいてた手ぬぐいはすぐに濡れて凍って,外さないと息ができな い。そんな中でI氏のテレマークbindingのネジが外れ,ふと僕も足元みるとゆる ゆるだったくるぶしのところの6角レンチnネジが完全に外れて遊んでいる(;_;) 不気味なブリザードの中で応急処置したあと,よほど山頂は諦めてそのへんから ヤカイ沢滑って下ろうかとも思ったが,この"春一番"と思しき南の強風にさらさ れた南斜面に突っ込むなんて自殺行為のような気もする。決断できずにずるずる 登り続けてふと高度計を見ると もうあと山頂まで高度差50mもなくなっていた。 やはり頑張って山頂越えて,稜線通しで1860mからヤカイ沢の下部に出られる快 適そうな尾根を滑ることにする。 登りに6時間もかかって13:30に山頂に着く。景色はいいが登れた感激よりもこん な悪条件(装備の故障,2月に南の強風という異常な天候)で引き返さずに登って しまったことの後ろめたさの方が大きかった。 30分休んでシール外して14:00に滑り出す。雪が引っかかって回りにくい山頂南 面をちょっと滑降すると嘘みたいに風が止んだ。1860mの分岐点までの広い斜面 を僕は大回りで,I氏はボーゲンで遅れて滑る。 1860mから右の枝尾根に入るが,この尾根に線路のように傾斜が一定で正確な登 りシュプールがついていた。これはT氏が来てるに違いないと思ったら,案の定 林道終点に彼の内部改装RAV4があったという次第(^^;) 枝尾根上はやや尾根が細いが,雪は新雪に近くなって回りやすい。TR-9は(ちょ うつがいのネジが外れていても)新雪で簡単に回れすぎてしまって,面白味がな いぐらいだ。谷足をちょっと踏み込むと左右の板のバランスが崩れてあとは靴 が体を支えて回し込んでくれてしまう,だから滑ってるときにやることといっ たらタイミングよく左右の板のトップを加重することだけ,,,といった感じでな んだか物足りない。軽くてヤワなDynafit TourLiteが懐かしい。こんないい斜 面で滑りが物足りないなんて,革靴+テレマークにでも転向しようかなあ(^^;) 枝尾根からさらに右寄りにヤカイ沢に下るぶな林の斜面に入ると,やはり林の 中は雪がサラサラで抜群に快適だった。I氏も(ときどき転ぶものの)快調にテレ マークを決めてる。予想どおりの素晴らしい林間滑降だった。 途中で20分ほどコーヒーブレイク。正面には松手山から平標に続く稜線が屏風 のように長い。去年は滑降だったのであっという間だったけれど,あんなとこ ろよく歩いたと思うほど長い。時間かかったわけだ。 15:15に林道に出て15:20に車に戻り,去年と同じやーさん温泉に寄って汗流し て暖まり,関越もあまり混まなかったので珍しく21時頃には帰宅してしまった。