- FSKIER MES(10): 《 山スキー 》"The Outfield" 01/06/30 - 01142/01142 JAF00036 雪兎 南八甲田/駒ヶ峰→櫛ヶ峰→乗鞍→赤倉(90行 (10) 94/05/05 22:00 【日 時】94/05/01 【山域名】八甲田山(南八甲田) 【山 名】駒ヶ峰,櫛ヶ峰,乗鞍岳,赤倉岳 【天 候】晴れ のち 曇 のち 小雪 のち 曇 【地 図】八甲田山,酸ヶ湯(1/25,000), エアリアマップ『十和田湖,八甲田,奥入瀬』 【メンバ】雪兎 + カミさん 【コース+タイム】睡蓮沼6:00 − 駒ヶ峰8:35〜9:00 →− 櫛ヶ峰10:20〜11:35 →      駒ヶ峰南側山腹 →− 乗鞍岳14:40〜15:00 →… 赤倉岳15:45〜55      →… 林道18:30 …(途中30分休憩)… 車道20:00 … 蔦温泉20:15  北八甲田には11月に1回と正月に5回行っているが、南八甲田には行ってなかった。 ちょうど『岳人』5月号に仙人袋ヒュッテで毎年のように会っている一戸さんが南八甲田 の主だった山を4つも回るコースを紹介していたので、これをちょっと読んでわかった気 になって出かけた。  睡蓮沼に車とめて猿倉岳(1353.6m)と駒ヶ峰の間のニセ駒(エアリアマップの「猿倉岳」)に 登り、緩い稜線を駒ヶ峰に登る。登り出したときには晴れていたのがだんだん曇って きて、駒では少し雪も降ってきた。が、あまり風はなく空も明るいので好転を期待し て先に進む。櫛ヶ峰に着くと残念ながら霧の中だった。登ってきたコースは斜面が今一 なので、晴れて 南東斜面見えないかなあ,,,とお湯など沸かしてゆっくり食事してい ると、続々と登山者が登ってくる。1/3が登山靴、1/3が山スキー,1/3がテレマークといったと ころか。  迷ったがちょっと偵察したところ割れ目などもなさそうだし、コンパスと高度計を頼 りにやはり南東斜面を滑ることにした。夏道沿いに1370mあたりまで滑って、斜滑降 で駒ヶ峰への尾根に戻り始めるとちょうど霧の下に出てルートが確認できた。頂上にい た単独テレマーカーが櫛ヶ峰の真東の急斜面を滑ってくるのに出会ったが、足の前後の開き 方で微妙なバランスをとりながら抜群にうまい滑りだった。  鞍部あたりで稜線に戻るが、登ったコースを滑ってきたスキーヤーも抜群にうまいテレマーカーも そこからは稜線沿いにシールつけて駒に戻っていった。人と同じコース行ってもつまらない という気もして、シール外したままheel freeにしてごく緩い下り斜滑降で駒の南面を巻 いて乗鞍岳を目指した。あまり大回りしても距離が長くなって大変なので、適当なと ころで黄瀬川源頭に滑り込んで渡り、シールつけて登る。しばらく登ると切り開きのよ うになり、駒か猿倉岳からのからのテレマークのシュプール数本と合流した。このうち一番上 手な1本のシュプールを赤倉岳まで辿ったが、混んだ樹林帯を巧みに登る名人芸的な物だ った。このシュプールは赤倉岳から真東に、下が見えない凄い急斜面を蔦温泉への沢に下 って行ったが、カミさんが初めての板で来てることもあって、これを辿るのはそこまで にした。乗鞍岳への登りは一戸さんに「ちょっと木が混んでるから北斜面の方がいい」 と言われていたが、かなりの薮で手こずって、時間食った。乗鞍東面の大斜面は快適 だがすぐ終わって赤倉への登りになる。この登り「シールつけるほどの距離ではない」 というがそろそろ疲れてきたこともあって、けっこう長くてきつかった。  赤倉からの下りはあまりの急斜面に一瞬あせった。が、よく見ると蔦温泉への尾根 はずっと右、南東方向だと判った。しかしその尾根はどう見ても途中までしか雪がな くて黒々としている。時間も16時に近くちょっと動転して、「少し戻って北側の1116 m地点から807m地点に向かえばいい」という一戸さんのアドバイスも(記事のコピー持って たのに)目に入らず、南東に下る蔦温泉への尾根に入ってしまったが、これが失敗だ った。  山頂から1031mの下、970m鞍部までは非常に快適な中斜面だったが、その先1001mは 全く雪がなく、エアリアマップにあるはずの登山道らしいものも薮で全く見あたらない。16 時過ぎにもなって500mもスキー担いで薮こぎする気にもなれず、雪を辿って右斜面を滑 り降り、どんどん雪が減って薮や笹が出てくる中、登り気味なぐらいに左にトラバースし て800mあたりで稜線の左端に出て崖を確認した。登山道の跡だけあってけっこう通る 人はいるらしく、赤布などはたくさんついていたが、全然道らしくない。この崖っぷ ちは薮は多いもののけっこう雪が残っていて、薮をかき分けながらでスピードは出せな いが一応スキーで滑降できた。  左側の崖のような急斜面のどこかで雪を伝って沢に降りたいのだが、こちらは全然 雪なくて降りられないまま600mあたりの平坦地に入り、登山道が駄目なら南に行けば 林道があるはず,,,とちょっと右にそれたつもりが気がつくと真南にかなり来てしま っていてそれでも林道は見当たらず、雪もいよいよ減ってきたのでスキー脱いで担いで 歩く。いよいよビバークかなあ、明るい内に林道を探すのと明るい内にビバーク態勢を確 立するのとどっちをとるべきかかなり迷ったが、もう林道は近いはずなので前者を優 先して東に歩いていく内に18:30、やっと林道に飛び出した。林道を10分も行かない うちに暗くなってきて、暗闇にならないうちに,,,とヘッドランプを用意した。  19:10、林道の途中で 血糖が下がったのと安心感からとで急にふらついた。大休止 してコーヒー沸かしてパンを食べて回復する。30分後に完ぺきにヘッドランプの明りだけを頼 りに歩き始めてやっと車道に出たのが20:00。  車道に出たら空身で車に乗せてもらって睡蓮沼に置いた車を取ってこようと思って いたのだが、こんな時間に雪のカケラもないところをスキー持ってフラフラ歩いてるのが気 味悪いのか、手をあげてもどの車も避けて走り抜けて行ってしまうので、仕方なく蔦 温泉まで歩いて、20:15に到着した。まず無理だろうとは思いながらも空いてたら泊 めてもらおうと玄関に行くと、番頭さんが心配そうな顔で飛んできてくれて、予約入 ってるもののまだ来てなくて連絡もない客が2組あるので、もう多分来ないだろうか ら泊めてくれるという。食事もあるというし、ありがたく泊めてもらった。  食後に宿の社長さんが睡蓮沼まで送ってくれて、車も回収することができたが、歩 いて1時間程度だろうぐらいに思っていた蔦温泉〜睡蓮沼 間がずいぶん遠かったのに は驚いた。冷静に地図見れば10km近くあることは判るはずなのに、どうも知らない土 地では地理感覚が掴めなくていけない。社長さんの話によると、赤倉岳から下ってき た尾根の道はかつて青森国体があったときに開かれたきりで、その後は全く整備され てないそうで、1986年発行のエアリアマップには赤の点線で出ているものの、現在は廃道化 しているようだ。 雪兎 (JAF00036)